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若者を地方に呼ぶ方法  辻 隆 氏
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■スキーは斜陽産業か?

売り上げを見てみましょう。群馬県のノルン水上。4年前にオリックスから購入しました。当時から今期まで、売り上げは171%増です。伊那スキーリゾートは6年前から250%、地元、若杉大屋スキー場は7年前から264%増。弁天浜キャンプ場は今年からですが、150%増となっています。こんな風に、身近なところでも何気に成果を上げています。

神鍋高原はどうでしょう?7年前からの増減を関西の他のスキー場と比較してみましょう。関西のスキー場全体では、対平成20年比で115%増となっています。琵琶湖バレーが90%、六甲山が108%、箱館山が98%。この3つは、それぞれ日本ケーブル、阪急阪神、マックアースが運営しています。このあたりでは、鉢伏=80%、小代=148%、氷ノ山=130%、千種=135%、若杉=205%、万場=169%、奥神鍋=124%、栗栖野=185%、太田=164%となっています。

スキー業界のピークは98年の長野オリンピックの頃です。ピークから比べると、今は全国で3分の1になっているので、斜陽産業と多くの人が思っていますが、こんなに伸びている業界、ほかにありますか?

一番の問題は、こんなに伸びているのに、地元、神鍋の人が「儲かっていない」と言っていることです。この現実をリアルに若者に伝えると「神鍋に未来はある」と思うはずなのに。なぜこのような認識のズレが起きるのかが今日のテーマです。

■シクミ、シカケ、シゴトを分けて考える

ズバリ言って、一括りに「仕事」と言ってしまっているからです。

私たちは、「仕事」、「ビジネス」などと一括りにせずに、「シクミ(仕組み)」「シカケ(仕掛け)」「シゴト(仕事)」の3つに完全に分けて話しています。この3つについて話される割合は、一般の世の中では「1:1:8」ぐらいでしょう。私たちの中では、これが「6:2:2」あるいは「4:4:2」ぐらいなんですね。

客が増えてもシクミがなければ儲かりません。良いシゴトをしても、シカケなしでは知られません。お客を集めるより先に、集まったときに儲かるシクミを作るのです。

私たちが行くと、シゴトを変えに来た?リストラをしに来た?と思われるので、シゴトには手をつけません。シゴトに手をつけると、人や地域の気持ちが離れていくからです。シクミにも手をつけません。地域が崩壊すると思われるからです。

私たちが手をつけるのはシカケです。シカケに手をつけるとお客は増えます。そうすると「あいつら、運が良い」と思われます。わからないけど数字は上がる。つまり、心をつかめるわけです。そして、心をつかめる担当者がシクミを変えにいきます。

ところが、数字が上がると、地域の人はこれでいいと満足してしまい、「もう余計なことはしてほしくない」と思いがちです。あと5年か10年で閉めようと思っているのに、変なことをしてくれては困ると思うわけですね。日本全体が落ちていく中で、均衡させようとすれば年々されに落ちていくのは目に見えています。つまり、儲かるところまでいけなくて、地域は本当に幸せになれません。シクミまでできて初めて「儲けるね」と言われ、ようやくシゴトに手をつけることができます。もちろん、失敗した例もあって、大屋の1年目はシゴトに手をつけてことごとく失敗しました。

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