セッション
|
音楽のちから 碓井 俊樹 氏
<演奏曲>
1. 『月光』 ベートーヴェン
2. 『キラキラ星変奏曲』 モーツアルト
3. 『パープル・ヘイズ』 ジミ・ヘンドリックス
4. 『フォーレのソナタより3つの楽章』(中澤きみ子さんとの共演)
5. 『ブリッジ』 坂本龍一
4
最後に、坂本龍一さんが作曲した曲をお聞きいただきたいと思います。この曲は、どこの国で演奏しても、非常に理解してもらえる。日本的な情緒のようなものを感じさせるのでしょうか。現地の批評家たちを中心に、いつもとてもいい評価していただく曲です。僕もとても好きな曲で、坂本龍一さんにとっては、唯一のクラシック音楽の作曲です。実は、この曲の譜面は、僕しか持ってないレアなものなのです。ちょっと演奏時間は長いのですが、聴いてください。「ブリッジ」というタイトルです。
最後に一つ質問を。碓井さんの活動は、いわゆる音楽ホールでのコンサートだけに限らず、海外の小さな国や、あえて危険な場所にも出かけて行って、ボランティアと言いますか、チャリティとして、現地の人に音楽を届ける活動をライフワークとしてなさっている。街の中へ、人々の中へ、音楽を届けようとされている。その行動の原点には、どんな想いがあるのでしょうか。あるいは、訪問した国で、どんなことを感じておられるのでしょうか。 碓井:そうですねえ。いろんな国で演奏して、思うことは、「音楽の受けとめられ方」が様々であることですね。例えば、インドでは、とても自由に体を動かす。パレスチナの子どもたちも、自分が「いい!」と思ったら身体を動かすんです。そして騒ぐ。そうすると、先生が棒を投げて「コラー、黙って聴け!」って怒るんですけれどね。 日本の子どもたちは、とても行儀がいい。だまーって聴いている。というより、身体が固い。もっとラフに!って思うんだけれど、きっとラフにする仕方を知らない。だから僕は、もっと楽にしていいんだよ!って言葉で教えるんじゃなく、音楽を体感させてあげたいなあって思うんです。理屈じゃなくて、フィーリングなんだよ、思うように楽しんだらいいんだよ!って。
ただね、僕はもう決めているんですよ。僕は誰にどんなことを言われてもいいんだ!ってね(笑顔)。僕は僕として、堂々といているつもりですし、僕は日本で生まれたのだし、僕は「国」で人を見たりしない。だって、どんな「国」にも、僕の好きな大切な友達がいる。だからこそ、僕はピアノを演奏しに行くんだってね。これが、僕がいろんな国に行って学んだことです。 |