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若者が創る町、私が住みたい町  山添 藤真 氏
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この「みえるまち」というコンセプトの大きな柱は、「安心安全がみえる」、「個性がみえる」、「もてなしがみえる」の3つ。

「安心安全がみえる」コンセプトの中で進めているのが、豆っこ・シルクのプロジェクト。この地域では合併前から自然循環型農業を推進。町の有機物供給施設において、魚のアラ、おから、米ぬかを原料に、「京の豆っこ」という有機質肥料を作っている。15年前に始まったが、ようやくオーガニック、有機質といったことが注目されるようになった。町内では安価に提供する一方、地域外とのコミュニケーションツールとして外販を進めている。

この豆っこ肥料を用いた循環型農業を推進。お米や野菜だけでなく、新規作物の栽培にも取り組んでいる。ビールの原材料、ホップもその1つ。国内のホップの圃場は大手ビール会社の契約栽培がほとんどで見学すら難しいが、農家さんの努力で1年目から収穫に成功。2年目からは豆っこ肥料を活用し、有機質のホップの栽培をしていく。有機質肥料によるホップ栽培は日本にはない未知の領域。今のところ事業は順調で、名だたるクラフト会社への提供も始まる。今後は、寝具の香り付け、香水、化粧品への応用など、さまざまな産業への水平展開を模索していく。

安全安心のもう1つのプロジェクトは、シルクのプロジェクト。養蚕業は、農業外収益を確保するための生業だったが、現在では取り組む方が非常に少なくなっている。シルクの織物は、織るだけでなく、糸を作る、養蚕、桑の栽培という一連の流れが産業であり、この産業の根幹を握ることが重要と考える。今年度は桑園の整備、来年度以降は桑の葉の生産や養蚕に入る予定。

養蚕といえば織物と考えがちで、日本では縮小の一途をたどっているが、世界的には成長産業とみなされている。たとえば、さなぎはたんぱく質を多く含む良質蛋白源。世界的な人口爆発に対応する効率的な栄養源と考えられ、研究が進んでいる。丹後ちりめんの技術で、洋装地を織ることに活路を見出す事業者も出てきている。

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