セッション
|
アルメニア <十字の石> を訪ねて 長岡 國人 氏
5
アルメニアでの拓本プロジェクトについては、今日は会場に拓本の実物を一つ飾らせていただいてますし、写真もたくさん持ってきましたので、それを見ながらお話したいと思います。ほんとはもっとたくさん見ていただきたいんだけれどね。
それから、「十字の石」の「十字」は、キリスト教のいわゆる「クロス」ではありません。キリスト教以前にアルメニアにはすでに十字のシンボルがあったんですからね。植物をモチーフにした、より原始的で象徴的な十字です。僕の考えでは、縦に伸びる線は「生命」を、横の線は「大地」を表現しているように思えます。
この、人類に普遍的なテーマを、世界遺産を対象にして、東洋の伝統的・アナログな印刷技術である拓本で、「手」で記録していくこと、そのことによって「光」を見出すこと、後世につないでいくこと、残していくこと。全ては滅んでしまう、だからこそ、僕は版画家だからさ、「拓本」で残していくことが使命だと思っているのね。 → 次のページ
|