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和食の成り立ちと特徴  谷 晃 氏
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家庭料理がアウトソーシングされつつあり、家で調理をすることが少なくなっています。家庭で調理し、温かいものを家族で食べるのは大事なことです。すべてでなくても、可能なところだけでも調理してほしいです。

日本の若者が好む料理は無国籍化の傾向です。外食はどこでも同じ味を出すことが大事なので、そこで取れたものを味わうことが難しくなっています。

和食の伝統を守るためにも原型としての懐石料理を維持する必要があります。懐石料理の心を受け継ぐことは茶の湯をしている人の責務だと思っています。仕出しに丸投げするやり方は本来の茶懐石のあり方からすれば邪道です。「おもてなし」というのもなんだか胡散臭いと思います。本来、「馳走をする」というのは、自ら相手のために走り回って素材を探し、自ら粉骨砕身調理をすることなのです。

料亭や旅館の会席は高いのが難点です。たまにはあってしかるべきですが、いつも食べるわけにはいきません。やはり家庭料理を守り、他に迎合せず郷土料理を誇りに思って守り続けることも大事です。そして、老若男女すべてが調理する生活ができるとよいでしょう。

GAP(農業生産工程管理)という認証制度があります。オリンピックに認証が必要ということで農水省が旗振りしているのですが、多項目にわたって厳しい基準が設けられ、これができない農家はつぶれるのではないか。対応できないところはつぶれ、失われてしまう味が出てくるのではないかと危惧しています。GAPの一般化は、外国の基準に合致させようという意識や動きですが、それよりも、茶懐石やスローフードのもともとの考え方を推し進めるべきです。もっと広い意味の食料安保、食文化、食育を総合的に考え、日本の農業水産はどうあるべきか考えるべきだと思います。日本料理を守り育て、維持することで日本独自の良いものを作れば必ず認められるでしょう。

この後、料亭の料理の写真を参考に茶懐石料理について学びました(詳細略)。

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