セッション
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豊岡でエコファームを営む人々 成田市雄・青山直也 氏
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平成17年のコウノトリ放鳥の際には、「このコウノトリが豊岡の田んぼで息絶えたら全国に笑われる」と身が引き締まる思いがしました。 その頃「コウノトリ育む農法」が確立されました。育む農法は、おいしいお米と多様な生き物を育み、コウノトリも住める豊かな文化、地域、環境づくりを目指すための農法、つまり「安全なお米と生き物を同時に育む農法」です。必須要件をクリアしていれば育む農法と認められます。一番の特徴は、早期湛水、冬期湛水、深水管理などの水管理です。 無農薬タイプだけでなく減農薬タイプも栽培していますが、平成26年にはネオニコチノイド系殺虫剤の使用を中止しました。ネオニコチノイド系殺虫剤は従来の有機リン系殺虫剤よりもヒトへの安全性が高いとされていましたが、浸透性が強く、吸収した状態で細胞分裂するので、すべての組織に入ってしまいます。洗っても落ちません。ミツバチの大量死との関連が疑われていますが、最近では家庭内暴力や学級崩壊の原因ではと言う学者も出始めました。広く使われているため、ほとんどの農産物に入っています。今安いものを買って将来病院に行くお金をためるのか、病気にならないものを食べるのか、考えた方がよいと思います。 生き物を育む定義をしながら殺虫剤を使うのはおかしいと考え、平成28年には殺虫剤の使用を中止しました。生き物の数と米の品質の関係を見ると、生き物が多いほど米の品質等級が高くなることがわかります。カメムシの幼虫をカエルが食べるなど、害虫制御ができるからです。 育む農法では田んぼに水を溜めておく湛水期間が長いため、イトミミズによって「トロトロ層」が作られます。トロトロ層は水のような泥なので、雑草の種子が泥の中に沈んで発芽しにくくなります。1㎡あたり3000匹(10aあたり300万匹)で抑草が可能、10aあたり1000万匹になると肥料も不要と言われています。 自分としては、「不耕起、無施肥、無農薬」が目標です。一度にするのは大変なので、不耕起(直播)、無農薬から試したいです。無理と言われるとファイトが沸きます。 → 次のページ
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