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セッション
あなたのスピーチが世界を変える
佐々木 繁範 氏(ロジック・アンド・エモーション代表)
1.主催者あいさつ
2.はじめに:スピーチにおける「ストーリー」とは
3.ストーリーを語ること:私のストーリー
4.そもそも「スピーチ」を準備するとはどういうことか
5.スピーチのお手本・ジョブスのスピーチを聞く
6.スピーチのお手本・ジョブスのスピーチを分解する
7.感情を揺さぶり共感を生む「ストーリーの力」
8.最後に:私の「未来のストーリー」
4.  そもそも「スピーチ」を準備するとはどういうことか

スピーチ原稿を任せていただけるようになるのは、そのもっと後です。資料を集めて一生懸命に原稿を仕上げても、会長は「ありがとう」と言って受け取ってくれるだけ。実際にあいさつされるときは見てもくれない。私の書いた原稿などまるで無視するみたいに、会長の言葉で全く別のことを話される。
ちょっとがっかりして、上司に聞いたことがあります。「私の書いた原稿は役にたっていなんじゃないでしょうか、どこが悪いんでしょうか」と。すると上司は私にこう言ってくれました。「いやいや、あなたの書いてくれた原稿がポケットにあるから、会長は安心して自由に話したいことを話せるんですよ」

つまり、私の書いたスピーチ原稿は「おまもり」なんですね。準備万端にやった後は、その場の雰囲気を見ながら、聴衆の顔を見ながら生き生きと自由に話す。何があっても大丈夫なように準備しているからこそ、それができる。

実は今の私もそうなんですよ。今日はもっと違うお話をしようと用意してきました。しかし、この場に立って、皆さんの表情を見ながら、感じながら、みなさんから発せられている(無言の)メッセージを受け取っていたら、全然違うことをしゃべっちゃった(笑)。準備を徹底してやったら、「おまもり」を胸に違うことを話す、というね。

今日は私のお話を聞いていただくだけではなくて、みなさんにも少しワークしていただこうと思っています。みなさんが失敗したことを、ストーリーにまとめていただきたいのです。そしてそれを近くの誰かと互いに話していただこうと思っています。
自分の失敗を誰かに話すことは、勇気のいることです。しかし、考えてみると、失敗というのは、むしろ成功なんですよね。「成功した」と言う時、それに取り組んだ時期がたまたまよかっただけかもしれない、運が良かっただけかもしれない、周りの方からサポートをもらえたおかげかもしれない。けれど、後で振り返って考えてみると、成功に至る前には、たくさんの「失敗」をしているはずなんです。そのことを誰かに話してみてほしいのです。どうやって困難を克服したのか、何を学んだのか。自分の失敗を本音でさらけだすとき、話し手は相手を信頼していないとできません。失敗を聞いた人は、こんなことまで僕に打ち明けてくれていいのか、と感情を揺さぶられます。そしてそんな話をしてくれる相手を信頼し、心から共感するのです。

自分の失敗をまとめること、そしてそれを相手に話す簡単なワークを通して、実際にみなさまにもストーリーについて考えていただき、「ストーリーの力」ってなんなのか、感じていただきたいと思います。
ということで、やっといよいよ「本題」に入ってきましたね。

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