セッション
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イマドキの野生動物
宮崎 学 氏(自然界の報道写真家)
6. 時代を目撃する写真家として現代人に伝えたいこと
「野性を取り戻せ、死を思え、死を忘れるな」
僕の写真はキレイ・かわいいじゃない。意味のある写真なんです。例えば鳥の写真を撮るのが好きな人はたくさんいますね。「ヤマセミのキレイな写真が撮れた!」といって喜ぶ。僕は、ヤマセミのいる「背景」を考える。ヤマセミがどういうところに巣をつくるのかご存じですか。山崩れした場所に巣をつくるんですよね。自然のプログラムの中には、山崩れも組み込まれている。それなのに、人間は山肌が崩れないように、コンクリートで固めてしまう。土砂崩れを防止して、自然のサイクルを止めてしまうんですね。そこにどんな生きものが関与しているかも知らずに。 また、これはアオゲラという鳥です。生木に穴を掘って巣をつくる。木にとってはダメージのはずだと思っていたんです。でもそうじゃない。木にとって悪い患部を「摘出」し、そのうえそこで子育てすることで、糞という栄養を木に与えている。子育てが終わって巣の役目を終えると、このように完全に穴はふさがります。こんな感じで僕は生きもの・自然を見ている。 これは高速道路の風景です。道路沿いのフェンスの上にネットが張ってあります。高速道路を走っていると、いつの頃からかこういうネットが増えてきた。皆さん気がついていましたか? シカは易々とフェンスを跳び越えて道路に出てきてしまうから、その対策なんですね。こういう時代のサインを僕は見逃さない。時代の目撃者。時代を追いかけて僕は写真を撮る。
最初にも言ったけど、「人も平気で食べられるよ」という当たり前のことを、今の社会は完全に忘れているんですよ。家畜みたいな人間ばかりになっちゃって。生きものと「共存」するってどういうことなのか。僕の写真を見て、その忘れ物に少しでも気がつく人が出てくればうれしいなと思います。 というところで、予定の時間にぴったり2分前ですから、これで終わりたいと思います。続きはこの後の第2部で。ありがとうございました。 |