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日菓のしごと、きょうの和菓子話  日菓
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甲斐:お菓子のルーツが果物であるというのは、まさに、ここ、豊岡に縁のあるお話ですよね。豊岡にある中嶋神社にまつられている「たじまもり」さんが、常世の国からタチバナを持ち帰った、それが日本のお菓子のはじまりとされていることは、豊岡の皆さんにはもうご説明しなくてもいいくらいの、よくご存知のことかと思います。タジマモリは日本のお菓子の神様、中嶋神社は総本山ですからね。そのおまつりも4月に行われています。

杉山:ええ、そうですね。この時は、かなり素朴な設定といいますか、ある農夫が農作業をしていて、ふと見上げると木に果物がなっている、それをもいで食べて、元気がみなぎって、さー、もうひとふんばり、あと少しがんばろう!という気持ちになるというシチュエーションを想定・設定しました。
本当は、お茶会に参加した方自ら立って、木になっている果実を一人ずつもぎとって食べていただきたかったんですが、それは事情によりできなくて、代わりに私たちが「収穫」して「果物」をお出ししました。

畳に穴をあけて木を植えたことだけじゃなくて、その他にもいろいろこだわったことがありました。お茶席に入る前の「待合」では、農作業の映像を見ていただきました。農作業中の一服のお茶でリフレッシュする感覚がふっとわくようにイメージを高めていただくためです。

また、茶室の床の間のしつらえも、オリジナルです。えと、、お茶会っていうからには、掛け軸も一応かけるんだよね、掛け軸も私たちが用意するんだよね、つまり、買わなくちゃいけないのかな・・・って。もちろん、そんなお金はないので、それでつくることにしたんです。知り合いから鹿の角を借りて、やっぱり書が要るよねってことで、「休」の一字をその下に書いて吊しました。「休」の字は、人が木に寄り添っていますよね、「人と木(ヒトとキ)」つまり、「ひととき=ひと時」。今回のお茶会にふさわしい一文字だろうということで。

お茶を点てていただく亭主も、私たちの趣旨を最大限に理解してくださって、こちらからは「もんぺ」をはいてきてください、とリクエストしただけだったんですが、麦わら帽子まで背中にさげてくださったんです。「ふくさ」は「てぬぐい」という演出で。本当にありがたかったです。

内田:お茶会を企画したり、お茶席にお菓子をお出ししたりするほか、パーティなどにケータリングしたりもします。お店のオープニングや、結婚式など。例えば、清水寺の通にある「京東都」というお土産屋さんのオープニングでは、こんな感じで好きなバイキング形式でお菓子をとってたべていただけるようにしました。京東都さんは、ちょっと斬新な商品を販売しているお土産屋さんです。

この赤いお菓子、画面ではちょっとみにくいかもしれませんが、モンブランをつくる道具で絞り出したものを丸くまとめたものです。何に見えますか? はい、ありがとうございます、バラです。たまたま、モンブランの機械で絞り出していたとき、ああ、これってなんか、こうやってまとめるとバラみたいに見えるよねー、って。それで「赤い糸」と名付けました。赤い生地でぐるぐるまきつけている幸せの運命、赤い糸。

甲斐:赤い糸、なんとも素敵なネーミングですよねえ。普通なら、そのまま「バラ」って名前つけちゃうと思うんですが、日菓さんはそうしない。とにかく、名前・言葉へのこだわりがすごくおもしろいというか、これまでになかった感覚でお菓子に名前をつけておられるんですよね。ダジャレがきいていて、くすっと笑えたり、なるほどーーって思ったり。日菓ファンはこの感覚にやられているんですよね。
ところで、お二人の間で暗黙の役割分担とかって、あるんですか?

内田:いや、特にないですね、、、テーマをいただいて、それじゃ○日までに決めようとなったら、それぞれでお菓子を考えます。そして考えてきた案を見せ合って、いい方を採用したり、、、ね。

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