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お寺さんのあれこれ  紀氏 隆宏 氏
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世界に目を向けてみると、宗教を広めるということはすなわち、その民族を支配することであり、民衆を統制するために宗教は利用されてきました。一方で、精神的な安らぎを求める人に対して心のケアをする新興宗教というのが現れた。宗教者がカウンセラーの機能を果たすわけですが、ときとして変なカリスマが現れて変な方向に行ったりするので、それならまだ形式的な葬式仏教でいいじゃないかと思う人も多いわけです。

来迎寺でも、昔は境内が遊び場であり、相談事や仲裁事など、なんでも持ち込まれていました。今はそれがなくなってきているので、単に葬式をするお寺というふうになってしまった。困りごとがあれば、来たらいいのです。今のひとは、親が亡くなって初めてお葬式のことを考えます。都会ではそれすらなくなってきています。

私は日本一の住職になりたいと思っています。仏教の目的はみんなが幸せになることです。法事はニコニコしてやってください。亡くなった人は、生きている人が幸せになることを願っています。念仏を唱えると、亡くなった人が励ましてくれます。苦しみから逃れるためのおまじないです。

仏壇は心の扉です。あの向こうに極楽浄土があるのです。合掌の意味ですが、マハトマ・ガンジーは、相手に危害を加えないことを示すために手を合わせて頭を下げました。私のすべてをあなたに委ねますという姿です。ヒンドゥ・バラモンでは、右が聖なる手、左が不浄の手とされ、それを合体することで、陰と陽を自分の中で統一することも意味しています。日本人は、神仏に対してだけでなく人に対してもこのポーズを見せますが、温かくなりますね。

これからのお坊さんの役割って、なんでしょう? 今、ターミナルケアが求められています。死を目前にした人に最期の日々をどう過ごしてもらうのか。臨終行儀というのがありますが、「病院で死なない」という運動もあって、在宅で、その場に居て、最期の念仏をあげる。しかし現実には医者が放さなかったり、家族が嫌がったりするのですね。周囲から言われるのが嫌ということで。終末の迎え方というのは、死を宣告されたから考えても遅いのです。信じるものを 1 つ作ってくださいね。


第二部でも、参加者がこれまで疑問に思っていたことや、宗派別のお焼香の仕方などを教えていただきました。知ってそうで知らない仏教のお話に興味が尽きない一夜でした。

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