セッション
|
茶の湯の心 谷 晃 氏(野村美術館館長)
2. "茶の湯の心" を包み込む日本文化の根本にあるもの
さて、日本文化の通底を流れているものはなんでしょうか。サンフランシスコにいる私の孫が、「私はJAPANが大好きだ」と言います。どうして?と尋ねてみると、「だって木が多いから」というのです。どういうことかと考えてみるに、キリスト教圏と日本の、自然に対する接し方、考え方・とらえ方、暮らし方、生き方の違いを、日本の緑を通して感じているらしいのですね。
日本独自の考え方の根本に、仏教があるのは間違いありません。しかしそれだけでは説明がつかない「何か」がある。この「何か」はなんなのだろうか。私は、一つには「古事記」なんだろうと思うのです。日本的なものの底にあるものを追及していると、どうしても古事記に行き着かざるを得ない。古事記の世界が現在まで脈々と続いていると思うしかないのです。それと、もう一つは「和歌」です。 → 次のページ「3. "茶の湯" の根本にある「禅」」 |