セッション
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競争しない競争戦略 渡辺 良機 氏
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しぶしぶ会社に入ったもののやはりなんとか断れないかと悩んでいるとき、2週間のヨーロッパ視察ミッションに誘われました。断り切れずに参加したこの視察ミッションで私は大きな気付きを2つ得ました。
もう1つはフランスの工場で。人がやりたがらない仕事だから高い給料で人材を雇っているという話。事務仕事などやりたい人の多い仕事は給料が高く、だれもやりたがらない仕事の給料は安くて当たり前と思っていましたが、やりたくない仕事に真面目に取り組んでいる人に見合うだけの報酬を出して正当に評価しないようでは「手作りバネ」の看板を下ろさないといけないのではないか。見合う給料を出し、もっと良いバネを作りたいと思ってもらう方がよいのではないかと気づかされました。 私は会社に帰ってからやるべきことを見つけました。教科書には「製造業はコストを極限まで削減しないと生き残れない」と書いてあります。しかし、できもしないのに、どうしても早く、安くしようとするのはやめようと思いました。お客さんの言いなりにならず、言い値で買っていただけるようにしていこうと、帰国して視察の成果を報告しました。
1回でもいただいた注文は、生産データ(形式知+暗黙知)を全部ストックし、積み上げていく。これで究極のシステムが出来上がります。おかげで、良いものを作っていたのにいつの間にか店を閉めはったわと言われずに済んでいます。単品でお困りの方のお役に立てるバネ作りを続けることができています。 → 次のページ
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