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セッション
の~らから見えてくるもの  木村 尚子 氏
1.主催者あいさつ
2.今の活動に至るまで
3.「NPO法人ダーナ」から「の~ら」へ
4.「の~ら」から見えてきたもの(社会のこと)
5.「の~ら」から見えてきたもの(自分たちにできる小さなこと)
6.「の~ら」から見えてきたもの(みんな「人」で困っている)
4.  「の~ら」から見えてきたもの(社会のこと)

自分に切実な問題で、自分のできる範囲で、小さく取り組んできたの~らでしたが、始めてみて見えてきたのは、「社会」のことでした。

かつての日本は、「一億総中流」と言われたように、みんなそこそこに豊かな暮らしができていました。今、お父さんと同じ能力がある息子さんが、お父さんと同じ暮らしが維持できるかと言ったら、できませんよね。そもそも、働く先がない。非正規雇用にしか就けなかったり、フルタイムで働いても生活が苦しいという層が、じわりじわりと増えてきています。

少し前までは、社会的弱者とよばれる層はほんの一握りでしたが、これからはどうでしょう。かつての「中流」と言われていたような生活を享受できる人々よりも、「生活が苦しい」と感じる人々の方が多くなっていきそうです。そうすると、社会的弱者って一体、誰のこと?自分だって弱者だ、自分もこんなに苦しいのに誰も支援なんかしてくれない、支援してもらえる人が許せない、と思う人が増えてきた。みんなが生きにくい、生きにくさを抱えて困っている。余裕がない。

このデータは、「自力で生活できない人を国が助けるべきですか?」という国際調査の結果です。ご覧の通り、日本はダントツに「助けなくてもいい」と考える人の数が多い。3 人に 1 人以上の割合で、困っている奴は困ってる奴の責任でなんとかしたらいい、つまり、生活保護なんて必要ないという考え方ですよね。助けてもらえなくても自分が悪い、そんなのしょうがないことだ、と本人も思っている。

私はなんというのか、暗澹たる気持ちになってしまって、基本的には、絶望してしまっているわけですけれど、この状況の中で何をしていけばいいんだろうと思うわけです。

これは、企業が求めている人材はこんな力のある人だとか、経済産業省がまとめた「社会人基礎力」といわれるものの中身ですが、いったいこういった能力はどんな努力をすれば身に付くのでしょうか。発達障害の人には、こういう曖昧なことが非常にわかりにくい。そして、実はこういった能力には親の影響が非常に大きいことも分かってきています。つまり、本人の努力だけではどうしようもない部分があるんですね。

生きにくさに輪をかける社会構造もあります。だれもが余裕を失い、助け合って生きることの価値が見失われています。「努力したら報われる」とよく言われますが、あれはちょっと間違えるとおそろしい思想でして、報われないのは努力が足りなかった自己責任、という見方につながります。そんな状況の中で、焦りや不安、ねたみやいらだち、あきらめの気持ちを蔓延させてしまう。そんな社会を、私たちはみんなで、お互いにお互いの首を絞めながらつくっている、そう思えるのです。

もう一つ、どうなのかなあと思うのが「お客様は神様です」というあれです。お店の理屈としてはそれで正しいのでしょうが、あれをそのまま消費者が真に受けて、自分が神様になっちゃった。果たして大丈夫なんだろうかと、思わずにいられません。そして、私たちは社会に対しても消費者感覚で眺めるようになっているのではないでしょうか。つくらずに消費するだけ。参加せずに選ぶだけ。そんな考えを持ったバラバラの個人が「共同体」を構成していけませんよね。これで社会が維持していけるのだろうかと思うわけです。

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