セッション
|
人と人、人とモノを繋げる 甲斐 みのり 氏(文筆家)
2. 私が愛する可愛いお菓子
私は味の専門家ではありません。そもそも、お菓子への愛は、お菓子の箱や包装紙がほしい!という子供のころの気持ちから始まっているところが大きいことも、すでにお話ししたとおりです。もちろん、わぁ!可愛い!の後には、美味しい!という感動もありますけれど、お菓子の「味」そのものを基準にして語ったりご紹介したりすることは基本的にありません。
このゼリーのイエのゼリーを週刊文春の「おいしい!私の 取り寄せ便」というコーナーで私のおすすめとして紹介させてもらったのをきっかけに、全国メディアにとりあげられるようになっていったそうです。どんなにがんばっても、お母さんが一日につくれるゼリーの数は限られた数で、予約制でその日の分をネットに出しても即完売。それくらい、ギュッと心をつかむゼリーなんですね。お母さんの愛から始まった可愛らしいゼリー、今や、なかなか簡単に口にすることができない幻の人気ゼリーになっています。 もう一つ、例を出してお話します。和歌山の「デラックスケーキ」です。ちょっと変わったカステラの生地にジャムをサンドしてホワイトチョコで包んであるお菓子です。地元では知る人ぞ知る銘菓でしたが、私は一目見て、これは可愛い!と思ったんです。包装紙も見た目も本当に可愛かった。食べても美味しい、大好きなお菓子になったのです。 つまり、私が愛するお菓子は、まず見た目の可愛らしさがあることなんです。デザインの可愛さ、これはとても大切です。次に、そのお菓子の背景にあるストーリーに惹かれます。ただお菓子を食べることだけ、お菓子の味だけを愛しているのではないんです。お菓子をとりまく様々のことが気になりますし、それらを全て含めて私はお菓子を心の底から愛するのですね。 → 次のページ「3. お菓子の背景にある物語」 |