セッション
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日独外交通訳の現場から ベアーテ・フォン・デア・オステン 氏
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ベアーテ)良い通訳をするには何が必要でしょうか。まずは文化を知ることです。言われたことをそのまま訳したら失礼になる場合もあるので、どう言えば失礼にならないか、言葉を選ぶ必要があります。文化と言葉は繋がっています。例えば、会社に行くとき、出かけるのがちょっと遅れて走って行ったら、バスの運転手さんが止めてくれました。こんなとき、ドイツ人なら「ありがとう」ですが、日本人なら「すみません」ですね。相手に迷惑をかけたから謝るという感覚ですが、ドイツ人なら自己中心的に考えますので、自分に良いことをしてもらったから「ありがとう」なのです。違う文化圏であることを踏まえて、そのコンテキストに一番適切な言葉を選ぶ必要があるのです。
通訳の責任は重大です。とんでもない訳をしたら、とんでもないことになる可能性があります。かつて、ニクソン大統領と佐藤首相の日米交渉で、適切な通訳ができなかったことがニクソンショックを招いたと言われています。「善処します」という日本語が「約束します」というニュアンスになって訳されたため、その後、約束どおりにいかなかったとアメリカの態度が冷たくなったのです。通訳は、一瞬で正しい訳が出ないとだめですし、「どういうつもり?」と聞き返すこともできません。後から話の流れの中で間違いだったと気づくこともあります。そんなときは、プライドを捨てて、その場で素直に認めることが必要です。 → 次のページ
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