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日独外交通訳の現場から  ベアーテ・フォン・デア・オステン 氏
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ベアーテ)通訳としての勉強ですが、母国語の語彙がないと良い通訳はできません。私は、扱うすべての言語でニュースを見るようにしています。というのも、二国間交渉には台本がありますが、晩餐会では趣味の話が出てきます。日ごろからできるだけ浅く広く勉強し、何でもいいからシャワーのように浴びておくと、役に立つ瞬間があります。どうしてもわからないときは、辞書を引かせてもらいます。また、好奇心を持つことが大事です。何でも知りたい、面白いと思う気持ち。どんなことも、少しわかってくると実際に面白くなっていきます。生涯学習が必要ですね。

通訳は丈夫な体でないと務まらない仕事です。代表団が来るときなどは、ワーキングブレックファースト、ワーキングランチ、ワーキングディナーというように、朝からずっと、一日中仕事です。通訳はたいてい食べられませんので、車の中でおにぎりを食べたりします。集中力を保つため、日ごろの自己管理も大切で、スポーツをしたり食事にも気をつけています。重要な会議には通訳のバックアップ(控え)はありませんので、絶対ダウンしないように健康管理しなければなりません。また、通訳は何でもありで、マラソン好きな外務大臣に合わせてジョギングコースを何度も下見で走ったり大臣と一緒に走ったりしたこともあります。

大物政治家2人の席に同席できるのは本当に光栄なことですし、うれしく思います。守秘義務があるので外では話せませんが、実際に経験できるのは本当に恵まれていると思います。その上、役に立てる仕事で、幸せです。この仕事に就いて、辞めたいと思ったことは一度もありません。足りないことがあるのはよくわかっていますが、全力で頑張って、もっと良い通訳になりたいと思います。生まれ変わることがあったら、また通訳を選ぶかなと思います。

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