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歌舞伎の魅力  水口 一夫 氏
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冒頭にちょっとお話した、福井県坂井氏丸岡町での取り組み、面白いんですよ。この丸岡町は、昭和 23 年の大地震で丸焼けになったまちなんですが、丸岡城には現存する日本最古の天守閣が残っていたりしてね、今も手紙を書くときに「一筆啓上」なんてやったりするような、面白味のあるまちです。

そんな丸岡町で、福井震災前の前にあった「霞座」という芝居小屋を復活したい、霞座を復活させて歌舞伎を中心とした新しいまちづくりの動きをつくりたい、力を貸してほしいというお話が入ってきました。さあ、どうするか。ちょうどそのころ、大阪道頓堀にあった劇場、中座が老朽化して取り壊されようとしていた時期でした。丸岡の市役所の職員さん、すごいんですよ。「中座の破風(はふ)がほしい、大阪から丸岡に運ぼう」ってね、運搬費だけでウン千万円ですよ。中座ほしい、壊すんならほしい。霞座の復活に、中座の破風をもろうて活かそう、って。

そうして、大きな立派な破風を平成 12 年に譲り受けて、丸岡町の磯部小学校の体育館(ちょうど使っていない大きな体育館があったんです)の舞台に復元しました。体育館の中に破風を設置しましたのでね、中に入って見てもらわなくちゃ、立派な破風が人の目に留まることがない。そこで、「まるおか子供歌舞伎」が誕生するんです。

但馬の関宮町にある葛畑(かずらはた)に関わりだしたのは、いまから 13 年くらい前のことです。葛畑にある農村歌舞伎舞台は、国宝級の舞台です。それなのに、その屋根を葺き替えるお金がない。市も国も葺き替えのお金を出してくれない。地元の人たちが、地域の文化として歌舞伎を復活させるのなら、葺き替えのお金をだしてやろう、ということで、地域の人たちが復活を決めたんです。葛畑は上方歌舞伎の流れをくんでいます。

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