TAJIMA
CONNECTION
パスワードを忘れた方
セッション
いのちのヴァイオリン  中澤 宗幸 氏
1.主催者あいさつ
2.但馬出身の中澤さん
3.「ヴァイオリン」という楽器
4.「ストラディヴァリウス」について
5.ヴァイオリンとの出会い(生きることと音楽 ①)
6.ヴァイオリンは特別な楽器ではない
7.ヴァイオリン・ドクターへの道
8.被災木でヴァイオリンをつくる(生きることと音楽 ②)
9.ふるさと但馬への思い
3.  「ヴァイオリン」という楽器

それでは最初はこの質問から。ヴァイオリンとは何ですか?

僕は人前では緊張しちゃうし、どんなことをお話しようかと今日もいろいろ考えてきましたが、その通りにいったためしがありません。けれど、ヴァイオリンについてなら、「ちょっと」お話しすることができます。
ヴァイオリンは500年前、クレモナ(イタリアの都市)に突如現れた楽器です。初めから完成された形で登場するのです。いろんなモノの誕生には、改良や改善が何度も重ねられた物語があるでしょ、でも、ヴァイオリンにはない、最初から完成されていて、誕生から500年以上経った今も、改良も改善もされていない、そういう楽器なのです。

最初から完成された形で登場したとおっしゃいましたが・・・、でも誰かがその形を最初につくったわけですよね?

ええ。ヴァイオリンの最初の原型をつくったのは、クレモナの職人、アンドレア・アマティだと言われています。アマティの師匠は、ガスパロ・ダ・サロという家具職人でした。ヴァイオリンに最も近い形があったとすれば、ヴィオラ・ダ・ガンバでしょうか。でも全く似ていませんよね。

ヴァイオリンは、馬のしっぽでこすって音を出すという原始的な楽器です。そして、楽器の中で最も人間の声に近いのがヴァイオリンです。すすり泣くような、オルガンのような、フルートのような、口笛のような、いろんな音が出せる。上手な人が弾くと、聴く者の魂をとらえてしまう音。ところが逆に、下手な人が弾くと、猫の鳴き声のような、ヒステリーのような、いらいらするような・・・。両極端な音を出すことのできるのがヴァイオリンです。

© TAJIMA CONNECTION