セッション
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いのちのヴァイオリン 中澤 宗幸 氏
3. 「ヴァイオリン」という楽器
それでは最初はこの質問から。ヴァイオリンとは何ですか? 僕は人前では緊張しちゃうし、どんなことをお話しようかと今日もいろいろ考えてきましたが、その通りにいったためしがありません。けれど、ヴァイオリンについてなら、「ちょっと」お話しすることができます。 最初から完成された形で登場したとおっしゃいましたが・・・、でも誰かがその形を最初につくったわけですよね? ええ。ヴァイオリンの最初の原型をつくったのは、クレモナの職人、アンドレア・アマティだと言われています。アマティの師匠は、ガスパロ・ダ・サロという家具職人でした。ヴァイオリンに最も近い形があったとすれば、ヴィオラ・ダ・ガンバでしょうか。でも全く似ていませんよね。 ヴァイオリンは、馬のしっぽでこすって音を出すという原始的な楽器です。そして、楽器の中で最も人間の声に近いのがヴァイオリンです。すすり泣くような、オルガンのような、フルートのような、口笛のような、いろんな音が出せる。上手な人が弾くと、聴く者の魂をとらえてしまう音。ところが逆に、下手な人が弾くと、猫の鳴き声のような、ヒステリーのような、いらいらするような・・・。両極端な音を出すことのできるのがヴァイオリンです。 → 次のページ「4. 「ストラディヴァリウス」について」
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