セッション
|
いのちのヴァイオリン 中澤 宗幸 氏
7. ヴァイオリン・ドクターへの道
ところで、朝来での幼少期を経て、中澤さんはどのようにしてヴァイオリン・ドクターへの道を歩まれるのですか。 僕はね、そんな風に父のヴァイオリンを聴いて過ごしたから、「絶対に世界一のヴァイオリンづくりになろう!」と決心してイタリアに行ったんです。しかし、半月もしないうちに、ああダメだ、これは適わないと思いました。イタリア人はとにかく遊び心がある。「いいかげん
それに比べて、「いいかげん」なイタリア人のつくるものは、なんか「生きている」んですよ。作品としておいてみたときに、彼らのつくるものにはまぎれもない「芸術性」としか言いようのないものがあるんですよ。一見いい加減にも見えるイタリア人たちの、人生を謳歌する姿勢が、この「芸術性」をもたらすのですね。イタリア人には到底かなわない、僕は2週間くらいで悟っちゃいました。彼らがつくり出しているものこそ、本当に「生きた芸術」だと。 → 次のページ「8. 被災木でヴァイオリンをつくる(生きることと音楽 ②)」
|