セッション
|
いのちのヴァイオリン 中澤 宗幸 氏
6. ヴァイオリンは特別な楽器ではない
お父様の言葉、素晴らしいですね。それに、見よう見まねでヴァイオリンをつくってしまわれるなんて。 あのね、簡単なんですよ、ヴァイオリンは誰にだってつくれます。 ヴァイオリンはこういう木材からつくりますね。これは陸前高田から拾ってきたものです。ヴァイオリンに使う木材は決まっています。表板などは松の木、渦巻き状の柄の部分は楓、その二種類です。 これは外枠です。こんなに薄いんですね。こんなに薄い板を曲げなくちゃいけないんですが、ちゃんとやればほんとに難しくないんですよ。こうやってね、ほら、簡単でしょ(笑顔)。 道具の使い方については西洋と日本では少し異なります。例えばこのカンナ、日本では引くときに削ります。外国は押して削る。力強く大きく削る時は押す方がいいですし、細かな作業をするときには引く方がいい。日本も外国もどちらも合理的です。が、これだけは自信をもって言いますが、繊細さについては、絶対に圧倒的に日本が優れています。カンナ一つ見ても違います。外国のカンナは鉄でできている、日本のカンナは樫の木で作ります。木製ですから消耗します、けれど、対象物にぴたっと吸いつくのですね。吸いつきがとてもいいのです。僕はこのカンナの刃を新潟・三条の刀鍛冶にお願いして特別につくっていただいています。 → 次のページ「7. ヴァイオリン・ドクターへの道」
|